職場にはTOEIC L&Rのスコアが900を超えている同僚が10人程度います。
かく言うわたしもその一人。
新入社員含めて大抵の人は800は超えているので、世間に比べて水準はかなり高めと言えます。
そんな英語のできる同僚に囲まれている私が、TOEIC900のリアルな英語力について、現実を解説したいと思います。
目次
まず、TOEIC900の定義
TOEIC受験者のうち、900点以上を取れるのは上位2%と言われています。
TOEICを実施している国際コミュニケーション協会は、英語能力をスコア別に5段階で評価していますが、900点はそのなかで一番高いレベルA(860点以上)となります。
TOEICスコア860以上:
Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる。
自己の経験の範囲内では、専門外の分野の話題に対しても十分な理解とふさわしい表現ができる。 Native Speaker の域には一歩隔たりがあるとはいえ、語彙・文法・構文のいずれをも正確に把 握し、流暢に駆使する力を持っている。
評価は、『ノンネイティブとして十分なコミュニケーションが取れる』。
イメージに対して高い、低いあると思いますが、私的にはかなり的を得ているという印象です。
実際のところ、同じ900点台でも能力はバラバラ
私の周りを見たとき、その素性は大きく2つに分けられます。
- 本当にネイティブな人
- 必死に頑張ったノンネイティブな日本人
スコアは似ていても、英語能力に関して両者の間には大きすぎる隔たりがあります。
① 本当にネイティブな人たち
いわゆる、”元”帰国子女ですね。英語圏の小中高で育った、もしくは大学に進学した方達が該当します。
ちなみに、一年やそこらの短期留学者は該当しません。
彼らはネイティブと遜色がありません。
細かなニュアンスに気を遣えるのは当然で、会話についても音声だけではネイティブか日本人か判断がつかないレベルにあります。
『日本語で話すより英語の方が楽』と言っている方もいるほど。
TOEICなどのペーパーテストに関しても、特に対策をすることなく、ほぼ満点が取れてしまいます。問題形式に関係なく、自身の”素の”英語力だけで勝負できるタイプですね。
彼らは本来であれば、英語のコミュニケーション力を測る試験など受ける必要はなく、TOEICの運営元の評価対象ではないのかもしれません。
② 必死に頑張ったノンネイティブな日本人
生まれも育ちも日本!という私の同僚、
そしてブログなどで英語の勉強法をうたっている方、
全員こちら側のカテゴリーに含まれます。
必死に勉強して、息切れしながらなんとか900点にたどり着いたタイプですね。当然私も含まれます。
彼らの多くは、TOEICに特化した勉強を行っています。具体的には、過去問や練習問題を解くなどです。
900点を取ろうと思うと基本的に満点狙いでないと届きません。
つまり取りこぼしは許されないのですが、リスニングセッションの問題を解くリズムや、リーディングセッションの速読は、状態を上げていかないと即座に対応出来ないことがあります。
“元”帰国子女でない僕らは、試験前には問題形式に体を馴染ませてコンディションを整えます。
本当の地力は?準備なしだとどうなる?
試験前に必死に準備することは、正しい姿勢です。悪いことではありません。
でも涼しい顔して満点をとっていく同僚(”元”帰国子女組)を見ていると、どうにもドーピングをしているような後ろめたさを感じることもありました。
ということで、過去、実験的に全く準備しない”素”の状態で受験したことがあります。
結果は835点でした。試験中、集中力が切れて聞き逃したり、時間が足りずに読みきれなかったりと散々だったことを記憶しています。
私の場合は、これが本当の実力なのでしょう。900点には届きませんでした。
頑張って900点をとったノンネイティブの英語力は?
本当に人それぞれなんですよね。能力レンジはかなり広いため、一概には言えないところがあります。
そもそもTOEIC L&Rだけで英語力を正確に測るのは無理
というのも、英語に必要なのは、聴く、話す、読む、書くという4つの力であるにも関わらず、このうちTOEICで評価されるのは聴く、読むの2つの力だけです。
例えば、『話す』ことに限って見ると、TOEIC900点だけど会話は全く勉強していない会社員より、TOEIC400の留学2ヶ月目の学生の方がはるかに喋れる。というケースも十分あり得る話です。
いくら900点あっても、ネイティブのように話せる訳ではない
TOEICしか勉強していないと、900に届いた時点でも『Yes』『No』『Hi!』しか使えていない方は多いと思います。会話はペーパーテストとは全く別の訓練が必要なので、仕方ありません。
評価されたはずの聴く力(Listening)にしても、現実は厳しいものがあります。例えば私の場合、TOEICのリスニングセクションは480点/495満点。ほぼ満点なので、スコア上は最高に聞き取れているはずですよね?
しかし!!映画は字幕がないと理解できませんし、洋楽なんて論外と言えるくらい意味不明です。そしてこれはほぼ全員に共通していました。総合的にみて、フツーの人と大きな差はないと思います。
それでも、900あれば彼らの英語力を信じて良い
実際の英語コミュニケーション力はともかく、将来の能力、いわゆる可能性を測ることに関してTOEICのスコアは良い指標となることは確かだと思います。
900点取れるほどあれば、ポテンシャルが相当あることは間違いないでしょう。
- 英語学習に対して向上心がある
- コツコツ勉強できる才能がある
- すでに英語の地力はついている
彼らがやろうと思えば、TOEICで高得点を取るのと同じように、話す、書く力もみるみる向上させていくでしょう。意欲や能力やがあることは、証明済みです。
実際、TOEICのスコアに満足すると、ほとんどの場合はスピーキング能力の向上に目を向ける傾向はあるようです。私もそう。
学歴も似たようなものですよね。
- 頭は悪くない
- 基礎学力は身についている
- 必要な時に努力できる
これらが示せているので、就活などで有利な評価をもらえる訳です。
話を戻しますが、まとめるとこういうことになります。
今現在の実力は人それぞれ。
でも全員が将来ネイティブに近づける才能は持ち合わせている。
TOEICで900点取った彼らのその先。よくある流れ
特にTOEICだけを頑張った人は、世間の評価と自分の本当の英語力にギャップに気づくことになります。
目標を達成したはずが、新たなプレッシャーが現れます。そしてほとんど多くの人は、ここで会話する能力の向上に方針をシフトすることになります。
(まあ、体験談なんですけどね。)
私の場合も、その後の努力によって話す、書く方面でも恥ずかしくはないレベルになりました。
発音本、瞬間英作文、そしてSkpe英会話(毎月30h)を2年ほど。それなりの代償は必要でしたが、TOEICの勉強の延長線上にあったので普通の流れだったと思います。
以上です。
でも、フツーの人よりはできるし、伸びる可能性があることは間違いありません。
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もう時効だと思うので白状しますが、私が勉強せざるを得なくなった理由がこちらです。