ケンタッキー州レキシントンの牧場見学③
アメリカンファラオ、ジャスティファイが繋養されているアッシュフォードスタッド(Ashford Stud)の紹介です。
目次
アッシュフォードスタッド(Ashford Stud)
公式HPはこちら。
アイルランドのクールモアが、1982年にアメリカに設立した種牡馬の繋養牧場です。
過去にはStorm Birdが繋養され、2000年以降はThunder Gulch、Giant’s Causewayが米国リーディングサイアーとなりました。
現在、American PharoahとJustify、2頭の米国三冠馬を両馬とも繋養しています。
Ashford Stud is the American home of international breeding giant Coolmore, one of the biggest players in the global bloodstock industry with properties in Ireland, Australia and America. Led by owner John Magnier, the operation has become a leading force in the Thoroughbred breeding and racing industry since its inception in 1975.
Located in the heart of Kentucky’s Bluegrass, Coolmore’s Ashford Stud has been home to many stallions over the years that have gone on to shape the Thoroughbred breed, including the legendary STORM BIRD.
Widely known as the Home of Champions, the stallion roster is led by record-breaking sire UNCLE MO and Triple Crown winners AMERICAN PHAROAH and JUSTIFY.
牧場到着から集合
スタリオンツアーの予約はこちらから。1時間で$25のツアーです。
見学は午後2時半から。
石造りの厩舎がアッシュフォードスタッドの象徴ですが、ゲートも立派な石造りでした。
牧場内の放牧地です。
駐車場の先にあるビジターセンター。ツアーの集合場所です。
ビジターセンター
写真、ゼッケン、トロフィーなどが展示されていました。
これはジャスティファイが無敗の3冠を決めたベルモントステークスのゼッケン。
2007年5月に英エリザベス女王が訪問された際の写真も飾られていました。
アメリカンフェローの3冠レースの単勝馬券。上から、ケンタッキーダービー、プリークネスS、ベルモントS。
ツアーの開始時刻になると、Uncle MoとMunnings、Jack Christopherが都合により見学出来ないとアナウンスがありました。
深刻な顔だったのでもしや?と身構えましたが、とりあえずアメリカンフェローやジャスティファイには会えればOKです。
種牡馬見学
それでは、種牡馬を見学順に紹介します。
American Pharoah (2012)
父Pioneer of the Nile(Fappiano系)
母の父Yankee Gentleman(Storm Cat系)
種付け料(2024年): $50,000
37年ぶりの米国三冠馬。現役通算11戦9勝(うちG1 8勝)。
アメリカンフェローだけは馬房外の展示で、
他のツアーの参加者の目当てもこの馬のようでした。
少しダークな印象のあるジャスティファイに対して、この馬は純粋に英雄ですからね。さすが37年ぶりの三冠馬。
アメリカンフェローは出資馬ルージュメアート(ライラヌールの22)のお父さんなので、私にとっても会うのが楽しみな1頭でした。
出資馬ルージュメアート(父American Pharoah)はまだデビュー前。気性はかなり大変そうですが、素晴らしい馬体と筋肉量、心肺能力はしっかりと受け継いでいるようです。日本では産駒成績はかなり優秀なので、娘の活躍を祈っていて欲しいと思います。
Justify (2015)
父Scat Daddy 母の父Ghostzapper
種付け料(2025年): $250,000
シアトルスルー以来2頭目、無敗の米国三冠馬。
初年度産駒が2020年に生まれ、2世代目から欧州年度代表馬のシティオブトロイをはじめ、芝・ダートに関わらずG1馬が出ています。この世代の種牡馬では、トップでしょうね。
禁止薬物によるサンタアニタダービーの失格(レースは1着入線)が勿体無かったですが、産駒の大活躍を見る限り、能力は抜けていたということだと思います。
ツアーのどのタイミングかは忘れましたが、参加者に調教師のBob Baffertがディスられていました。馬は悪くないですからね。
馬房の上にGiant’s Causewayのプレートがあったので、アイアンホースと同じ馬房。
いつかジャスティファイ産駒の一口馬主になれたらと願っていましたが、ここまで種付け料が上がってしまうと、クラブが産駒を手にいれること自体難しいでしょうね。
アメリカンフェローほどではありませんでしたが、ジャスティファイもツアー参加者に人気でした。
Golden Pal (2018)
父Uncle Mo
母の父Midshipman(Fappiano系)
種付け料(2024年): $25,000
BCターフスプリント(G1)の勝ち馬。
Wesley Ward調教師曰く、『これまで調教した全ての馬の中で、彼が最も速い』
調教師にそこまで言わせるかと、2021年のBreeders’Cup Turf Sprintを観ましたが、本当に、エグかったです。
ここから、別の厩舎へ移動。
厩舎の前にある像はアイアンホース、Giant’s Causewayです。出資馬ルージュカリーナのBMS(母の父)なので、恐れ多いですが少しだけ身近に感じました。
隣の厩舎も外観は石造りで変わりありませんが、おそらく新しい厩舎なのか内装は少し現代風でした。
Practical Joke (2014)
父Into Mischief
母の父Distorted Humor(ミスプロ系)
種付け料(2025年): $75,000
G1を3勝(ホープフルS、シャンペンSなど)。Into Mischiefの後継種牡馬の1頭。4頭の産駒がG1勝ち。
Corniche (2019)
父Quality Road 母の父Najran
種付け料(2025年): $15,000
2歳時にG1を2勝(BCジュベナイル、アメリカンファラオS)。
Maximum Security (2016)
父ニューイヤーズデイ 母の父Anasheed
種付け料(2025年): $5,000
G1 4勝(フロリダダービー、パシフィッククラシックSなど)。ケンタッキーダービーは1着で入線も、進路妨害で降着。ニューイヤーズデイの代表産駒。
競走実績に対して種付け料がとても安いのが気になりますが、応援したくなる1頭ですね。
以上で種牡馬の見学は終了です。
牧場施設の見学
種付け場。日本の社台スタリオンと同じく、2階建に見学ルームが設置されていました。米国では初めて見ます。
ガイドの中で、アメリカンフェローは種付け時に牝馬に囁くような仕草をして、それがまたセクシーだという説明があったのですが・・・
お婆ちゃんが一番ノリノリで喜んでいた場面にアメリカを感じました、笑。
床に敷き詰められていたのは、きめの細かい、しっとりした土?
これまで足を踏み入れた種付け場の中でダントツのクッション性でした。これは安全でしょうね。
最後に、過去繋養されていた種牡馬達のお墓を見学です。
向かって左がStorm Bird(Storm Catの父)、真ん中がHennessy(ヘニーヒューズの父)と、血統表でよく見る馬たちですね。
反対側にも。
一番左がフサイチペガサス、真ん中がScat Daddy(Justiffyの父)、右から2番目がアイアンホース、Giant’s Causeway。
フサイチペガサスのお墓にはもちろん関口房郎氏の名前も刻まれていたわけですが、この並びに入ってしまうことが純粋にスゲーなと思いました。
以上、およそ1時間で見学は終了です。
全体を通して、良い表現が思いつきませんが、高貴というか、重厚な雰囲気の牧場でした。
野球で言えばヤンキースでしょうか。
Uncle Moに会えなかったのは残念ですが、差し引いても素晴らしい体験でした。
またレキシントンを訪れる機会があれば、ぜひ次回も立ち寄りたいと思う牧場です。
(つづく)
ケンタッキー州レキシントン牧場見学の記事です▼