真夏のダービー、トラヴァースステークス観戦記。サラトガ競馬場。

アメリカ駐在生活

2024年8月24日、ニューヨーク州サラトガ競馬場にて第155回トラヴァースステークスを観戦しました。

トラヴァースステークスについて

8月下旬にサラトガ競馬場で開催される、3歳限定のG1競走。

  • 距離は1マイル1/4(およそ2000m)
  • 賞金総額は$1,250,000

トラヴァースの名称は、サラトガ競馬場の初代場長の名前が由来です。

 

真夏のダービー

多くのG1競走に有力馬が分散する中、トラヴァースSはトップクラスの馬同士が競う数少ないレースの1つです。

3歳競走では、国際レーティングにおいて、ケンタッキーダービー、ベルモントステークスに次ぐ3番目の評価を受けており、”Midsummer Derby(真夏のダービー)”と呼ばれています

クラシックの1つ、プリークネスステークスよりも上なので、レベルの高さが分かりますね。

 

夏のサラトガに世代のトップが集まる理由

アメリカの3歳馬は一線級の馬も夏に休みません。

アメリカでは2、3歳時にG1を勝てるような強い牡馬は、3歳で引退して種牡馬入りします。

日本でもディープインパクトやイクイノックスは血を残すために4歳で早々に引退していますが、欧米の方がさらに1年早いイメージです。

春のクラシックに参戦後、夏のトラヴァースS、そして最後に秋のブリーダーズカップを走って種牡馬入りというのが近年の3歳牡馬の王道ローテーションのようです。

三冠馬アメリカンフェローもこのローテーションでした。(トラヴァースSは勝てませんでしたが)

種牡馬の世界で成功した名馬も、同じようにトラヴァースSを走って血を広げていきました。

 

主な勝ち馬

  • サンダーガルチ Thunder Gulch(1995)
  • レモンドロップキッド Lemon Drop Kid(1999)
  • メダグリアドーロ Medaglia d’Oro(2002)
  • ストリートセンス Street Sense(2007)
  • アロゲート Arrogate(2016)
  • エッセンシャルクオリティ Essential Quality(2021)
  • アルカンジェロ Arcangelo(2023)

 

主な入着馬

  • クオリティロード Quality Road(2009-3着)
  • アメリカンフェロー American Pharoah(2015-2着)
  • ガンランナー Gun runner(2016-3着)

 

 

空路でオールバニーへ

熱戦の期待できるトラヴァースSを観戦するため、シアトルから1泊3日の弾丸観戦ツアーを組みました。

シアトル深夜発、シカゴを経由してオールバニーへ。

空から見えた、我がホーム競馬場、シアトルのエメラルドダウンズ競馬場。

 

経由地のシカゴに早朝到着。トランジットは1時間強。

 

そしてオールバニー空港へ到着。馬産地や競馬場近くの空港に降りると、大抵は馬が歓迎してくれます。

 

地方の空港なので、レンタカーのブースもそれなりの規模です。荷物を受け取った先数十メートルに窓口あるのはありがたいです。

 

空港建屋すぐ隣の駐車場で車の引き渡し。ローカル空港ではお馴染みですね。着陸から車を手にいれるまで、都市の空港だと1時間以上かかりますが、地方だとショートカットが可能。予定がある時は本当に助かります。

 

オールバニー空港から30分程度、サラトガ市内に路駐します。まだお昼の12時台なので早く到着したはずなのですが、それでも路駐スポットを探すのには苦労しました。競馬場までは、歩いて20分はかかりそうです。

 

アメリカ競馬名誉の殿堂博物館

トラヴァースSの発走が夕方6時なので、まだ十分時間があります。行きたかった殿堂博物館に立ち寄りました。

 

米国三冠馬のブース。セクリタリアトのトロフィーとお馴染みのデザインの勝負服。セクリタリアトはディズニー映画にもなっていますね。

 

ノーザンダンサーの馬名登録書。

 

サンデーサイレンスが勝った1989年ケンタッキーダービーの優勝トロフィー。

 

他にもたくさんの展示物があったのですが、キリがないので写真を数枚紹介するに留めたいと思います。

映像展示も素晴らしかった。

想像よりもはるかに充実していました。1時間半くらい居たのですが、それでももっとちゃんと見たかったと思います。

 

サラトガ競馬場

トラヴァースS当日のサラトガ競馬場。他にもG1が4レースも開催されるとあって、最もお客さんで賑わう1日です。

入場ゲートに到着したのが午後3時前でした。

 

ゲートを通ると、レーシングプログラム売り場があります。

 

トラヴァースSの有力馬、ソーピードアンナのポスターが配られていました。欲しかったのですが、持ち歩けないのでスルー。

 

至る所に馬券売り場。

 

これが競馬場の全体図。芝生のエリアが非常に広いことが分かります。

 

芝生にベンチやクーラーボックスを持ち込んで、皆さんやりたい放題でした。

 

パドックも覗きにいきますが、人混みでなかなか近づけず。

 

そもそも楕円形ではなく複雑なレイアウトなので、どこを馬が歩くのかよく分かりません。

 

比較的空いている入り口に張っていると馬を近くで見れましたが、周回場と出口はまた別なので、ここにいても馬は戻ってこないと思われます。

可能であればパドックとコースを何度も往復したいところでしたが、人が多くて移動が大変、かつ猛暑ということで、今回はパドックを早々に諦めました。

 

なんならメイン以外のG1レースも諦めて、メインレースまで屋内で時間を潰しました。

 

ショップストアも少し紹介します。何ヶ所かに点在していますが、ここが1番大きなお店。品揃えは他の競馬場に比べてかなり豊富な部類だと思います。

 

そして飲食について。

これが名物のSaratoga Sunrise($15)。ウォッカとオレンジジュースのカクテルです。

 

昼食はロブスターロールのミニサイズ($24)。ロブスターがゴロゴロ。塩味のしっかりした味付けで美味しくない訳がないヤツでした。

そうこうしているうちに、メインレースの時間が近づいてまいりました。

 

第155回トラヴァースステークス

2024年もとても豪華なメンバーが揃いました。中心はこの3頭。

  • Thorpede Anna(ソーピードアンナ)3牝

ケンタッキーオークスからG1を3連勝中。

  • Sierra Leone(シエラリオーネ)3牡

ケンタッキーダービー2着。ブルーグラスS(G1)勝ち。

  • Fierceness(フィアセネス)3牡

BCジュベナイル、フロリダダービー(ともにG1)勝ち。

*戦績は2024年8月時点のものです

発走は6:10。

前のレースから待機して、辛うじて一番前から観戦することができました。

ゴールから200m程度手前でこの人だかり。日本だと大きなレースでは混むのは当たり前ですが、アメリカでこの人口密度になることは滅多にありません。アメリカでG1レース観戦した中でダントツの盛り上がりでした。

 

さて、最後の直線。

早めに抜け出したフィアセネスをソーピードアンナとシエラリオーネが追いかけるという、期待通りの展開!

 

人気薄の馬が前評判をひっくり返すのも良いですが、やはり上位人気馬がバチバチにやり合うのが一番好きです。

あっという間に目の前を過ぎてしまい、興奮でゴール前でどうなったかはすぐに分かりませんでした。

結果は接戦の末にフィアセネスの優勝。

 

引き上げてきたフィアセネス。厩務員さんのハイタッチが感動的。

 

前年のBCジュベナイルに続き、フィアセネスの勝利を見届けることができました。

 

後日届いた、BLOOD HORSEの表紙でも、激闘ぶりが分かります。

右のオレンジ帽が1着のフィアセネス、2着にコーピードアンナ、後ろに少しだけ写っているのが、3着のシエラリオーネ。”僅差の”トラヴァースと書かれています。

 

牝馬として初の栄冠まであと僅か(アタマ差)だったソーピードアンナも賞賛されていました。

 

上位馬のその後(おまけ)

これから2ヶ月後、サンディエゴのデルマー競馬場で開催されたブリーダーズカップでこの3頭と再会したわけですが、それぞれが凄まじい活躍でした。

まず、牝馬のソーピードアンナがBCディスタフを完勝。

 

メインレースであるBCクラシックに出走したのがシエラリオーネとフィアセネス。

こちら、雪辱に燃えるシエラリオーネ。

 

そして、1番人気フィアセネス。

 

結果は、シエラリオーネの優勝、フィアセネスの2着でした。(3着は日本のフォーエバーヤング)

3頭の圧倒的な強さに、トラヴァースステークスが実質世界一決定戦だったのでは?と個人的には思いました。

 

レース当日に話を戻します。

帰路

良いレースを観れた満足感に浸りつつ、サラトガ競馬場を後にしました。

競馬場の周りは交通制限があるので、離れる方向に走っていれば、渋滞なく帰れます。

ホテルのあるオールバニー市街へ。

チェックイン後に、評判の良さそうなラーメン屋に向かいました。

 

久しぶりの豚骨ラーメン。写真で見るとアレですが、スープめちゃくちゃ美味しかったです。チャーシューにすごい八角が効いていたので、日本人経営ではなさそうですが。

これで、長い1日が終わりました。

 

翌日はオールバニーの街を少しだけ周って、ジョン・F・ケネディ国際空港へ。ただ帰るだけの日ですが、1日がかりです。

オールバニーは、さすがニューヨーク州の州都だけあって、所々に歴史を感じる街でした。治安も良さそうで、時間をかけて散策するのも楽しそうです。

 

空港の手前で、Liberty State Parkへ立ち寄りました。湾の向こうにマンハッタンが見えます。あと、自由の女神も。(背中側)

 

せっかくのニューヨーク。丸一日あったので他にも寄りたかったのですが、空港に辿り着くまでの道の渋滞が酷く、そのまま最短のルートでジョン・F・ケネディ空港へ。

 

予定通りの時間に到着できたので、初めてセンチュリオンラウンジに入ってみました。運良く長列も短かったです。

 

ただ、混んでいて席も少ないですし、本当に夕食だけ済ませた感じです。食事はさすがに豪華で美味しかったですが。

 

便も大きく遅れることなく、無事にニューヨークを発ちました。

1泊3日。週末の弾丸観戦が無事に完了。

良いレースが観れて良かったです。

(つづく)

同年のアーカンソーダービーの観戦記事です▼

アーカンソーダービー観戦記。オークロンパーク競馬場。

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