ケンタッキー州の牧場見学⑥
牧場を訪れたのは2025年3月のこと。
ケンタッキー州を代表するスタリオン牧場のひとつであり、北米競馬を語るうえでも欠かせない存在です。数多くの名種牡馬を繋養しており、近年は特にInto Mischiefの成功によって、その名声をさらに高めています。
今回は、そんなSpendthrift Farmを実際に見学してきました。
目次
- スペンドスリフトファーム(Spendthrift Farm)
- 牧場到着から集合
- 種牡馬見学
- Vino Rosso (2015)
- Vekoma (2016)
- National Treasure (2020)
- Yaupon (2017)
- Jimmy Creed (2009)
- Goldencents (2010)
- Zandon (2019)
- Maximus Mischief (2016)
- Kingsbarns (2020)
- Thousand Words (2017)
- Mo Donegal (2019)
- Cross Traffic (2009)
- Arabian Lion (2020)
- Taiba (2019)
- Dornoch (2021)
- Omaha Beach (2016)
- Cyberknife (2019)
- Jackie’s Warrior (2018)
- Authentic (2017)
- Into Mischief (2005)
- Forte (2020)
- 見学を終えて
スペンドスリフトファーム(Spendthrift Farm)
種牡馬の繋養を行っています。公式HPはこちら。
1937年にレスリー・コムズ2世が創設したスペンドスリフトファームは、名馬スペンドスリフトに由来する牧場で、当初127エーカーから始まりました。
1955年に高額で購入した名馬ナシュアが種牡馬として成功し、最盛期には約4000エーカーまで拡大し、シアトルスルーなど2頭のアメリカ三冠馬を繋養するなど黄金期を迎えました。
しかし1980年代後半に経営が悪化し倒産、敷地も大幅縮小。
その後所有者が変わり、2004年にウェイン・ヒューズが買収してマリブムーンやイントゥミスチーフの成功を背景に再び発展を遂げています。
見学の目玉はイントゥミスチーフ、そしてその代表産駒の1頭で2020年ケンタッキーダービー勝ち馬のオーセンティックなど。
…Sitting on over 1, 200 acres, we are the home to champions such as 146 Kentucky Derby winner AUTHENTIC, #1 General Sire INTO MISCHIEF, 4x Champion racehorse BEHOLDER & MONOMOY GIRL, and more. We are based in the heart of Horse Country and commit our business to the health and well being of our horses..…
牧場到着から集合
スタリオンツアーの予約はvisithorsecountry.comから。1時間で$25のツアーです。

ビジターセンターが集合場所になるので、分岐を左へ向かいます。

ビジターセンターへ。厩舎も含め、建物は全体的にシンプルなファームハウス風のデザインで統一されていました。
大成功を収めているスタリオン牧場ですが、実際にはどこか農家風の落ち着いた雰囲気。派手さを抑えた控えめな外観が印象的です。

一方で、内部は現代的で、洗練された空間になっていました。
館内には、AuthenticのKentucky Derby優勝時のレイやゼッケン、蹄鉄が床に展示されています。他の牧場で見たことのない演出でした。

応接室の展示コーナー。中央に置かれているのは、AuthenticのKentucky Derby優勝トロフィーです。

さらに、同馬が制したBreeders’ Cup Classicの優勝トロフィーも展示されていました。

他にも、現地観戦した2024年のStephen Foster Handicapを制したKingsbarnsのゼッケンを発見(左から2番目)。

種牡馬見学のために、厩舎へ移動します。

厩舎の中央にはNashuaの銅像。

種牡馬見学
種牡馬を見学順に紹介します。
Vino Rosso (2015)
父Curlin 母の父Street Cry
種付け料(2025年): $12,500
BCクラシック、ゴールドカップ勝ち馬。初年度産駒から、「重賞で活躍した産駒数」と「ブラックタイプ獲得馬数」は全米上位。産駒にBottle of Rouge(デルマーデビュータントステークス)。

馬房には、シアトルスルーのネームプレートが残されていました。

Vekoma (2016)
父Candy Ride 母の父Speightstown
種付け料(2025年): $35,000
メトロポリタンH(G1)など重賞4勝。初年度産駒からG1級の活躍馬を送り出し、急速に評価を高めている人気種牡馬。2024年の新種牡馬リーディング北米1位。

National Treasure (2020)
父Quality Road 母の父Medaglia d’Oro
種付け料(2025年): $40,000
プリークネスS(G1)、ペガサスWC(G1)勝ち馬。先行力と持続力を武器にトップレベルで活躍し、Quality Road後継として高い期待を集める。産駒デビュー前。


Yaupon (2017)
父Uncle Mo 母の父Vindication
種付け料(2026年): $25,000
BCスプリント(G1)勝ち馬。無敗で重賞戦線を駆け上がったスピード型で、短距離志向の産駒を出すことが期待されるUncle Mo後継種牡馬。2025年の新種牡馬リーディング北米1位。

Jimmy Creed (2009)
父Distorted Humor 母の父Citidancer
種付け料(2025年): $7,500
マリブS(G1)、パットオブライエンS(G1)勝ちのスプリンター。Casa Creed(キーンランドターフマイルなどG1・2勝)やPrivate Creedなどを輩出し、芝・ダート双方でスピード型の活躍馬を出す堅実な中堅種牡馬。

Goldencents (2010)
父Into Mischief 母の父Banker’s Gold
種付け料(2025年): $10,000
BCダートマイル連覇の名馬。By My Standards(スティーブンフォスターS)などを出し、堅実に活躍馬を送り出している。

Zandon (2019)
父Upstart 母の父Creative Cause
種付け料(2025年): $10,000
ブルーグラスS(G1)勝ち馬。ケンタッキーダービー3着などクラシックで安定した実績。Upstart後継として期待される新鋭種牡馬。産駒デビュー前。

Maximus Mischief (2016)
父Into Mischief 母の父Songandaprayer
種付け料(2025年): $15,000
2歳時にG2レムゼンS勝ち。Into Mischief後継として期待される存在。2025年にINTREPIDO(American Pharoah S)とRAGING TORRENT(Metropolitan Handicap) がG1馬に。

Kingsbarns (2020)
父Uncle Mo 母の父Tapit
種付け料(2025年): $20,000
ルイジアナダービー(G2)を無敗で制覇。良血背景とスピードを兼備し、Uncle Mo後継候補として注目される。

現地観戦したStephen Foster Stakesを勝利して以来の再会となりました。
初年度となる2025年には196頭に種付けを行い、Book Fullになるほどの人気を集めたようです。現役時代の実績と血統背景を考えても期待は大きく、産駒の活躍が楽しみになります。

Thousand Words (2017)
父Pioneerof the Nile 母の父Pomeroy
種付け料(2025年): $12,500
ロスアラミトスフューチュリティ(G2)勝ち馬。American Pharoahと同じ父系でクラシック血統として配合妙味あり。

Mo Donegal (2019)
父Uncle Mo 母の父Pulpit
種付け料(2025年): $10,000
ベルモントS(G1)勝ち馬。スタミナと持続力に優れ、クラシックディスタンス向きの産駒が期待される。

Cross Traffic (2009)
父Unbridled’s Song 母の父Cure the Blues
種付け料(2025年): $7,500
メトロポリタンH(G1)勝ち馬。Nyquist(ケンタッキーダービー勝ち馬)を輩出し、実績ある中堅種牡馬。

Arabian Lion (2020)
父Justify 母の父Distorted Humor
種付け料(2025年): $20,000
ペガサスS(G2)勝ち馬。三冠馬Justifyの後継としてスピード能力を評価され、早期始動型として注目。

Taiba (2019)
父Gun Runner 母の父Flatter
種付け料(2025年): $30,000
ペンシルベニアダービー(G1)、マリブS(G1)勝ち馬。完成度と成長力を兼ね備え、Gun Runner後継の有力株。

ここから、別の厩舎へ移動します。

Dornoch (2021)
父Good Magic 母の父Big Brown
種付け料(2025年): $40,000
ベルモントS(G1)勝ち馬。クラシック勝ちに加え高い先行力を武器とし、良血背景からも大きな期待を集める新種牡馬。

Omaha Beach (2016)
父War Front 母の父Seeking the Gold
種付け料(2025年): $35,000
アーカンソーダービーなどG1・3勝。2025年までにデビューした3世代が好成績で、芝・ダート兼用タイプとして評価される。代表産駒にKopion(Churchill Downs’ Derby City Distaff)、Nevada Beach(Goodwood S)。

Cyberknife (2019)
父Gun Runner 母の父Flower Alley
種付け料(2025年): $25,000
アーカンソーダービー、ハスケルS勝ち。Gun Runner後継として期待される有力種牡馬。

Jackie’s Warrior (2018)
父Maclean’s Music 母の父A.P. Five Hundred
種付け料(2025年): $35,000
チャンピオンスプリンター。H.アレンジャーケンズSなどG1多数勝利で、スピード特化型の後継として期待。2026年に初年度産駒がデビュー。

Authentic (2017)
父Into Mischief 母の父Mr. Greeley
種付け料(2025年): $25,000
ケンタッキーダービー、BCクラシックを制した年度代表馬。Into Mischiefの後継として非常に高い人気を誇る。

2025年までにすでに3世代がデビューしており、成績自体は決して悪くありません。
実際にG1馬も送り出しているのですが、現役時代の実績や、種牡馬入り当初に寄せられていた期待の大きさを考えると、やや物足りなく映ってしまう部分もあります。
種付け料も2026年には15,000ドルまで低下しています。
Into Mischief (2005)
父Harlan’s Holiday 母の父Tricky Creek
種付け料(2025年): $250,000
現代アメリカを代表する大種牡馬。通算リーディングサイアー複数回獲得。Authentic(ケンタッキーダービー、BCクラシック)、Life Is Good(ペガサスWCなどG1・4勝)など多数のG1馬を輩出。


Forte (2020)
父Violence 母の父Blame
種付け料(2025年): $45,000
ブリーダーズカップジュヴェナイル(G1)、フロリダダービー(G1)などG1・5勝を挙げた2歳王者。完成度の高さと持続力を武器にクラシック戦線で活躍し、Violence後継の最有力候補として期待される。

種牡馬の数が多く、馬の見学だけで1時間。
種付け場の見学はありませんでした。
ビジターセンター前には、Malibu Moonの銅像。

見学を終えて
今回この牧場を訪れた最大の目的は、Into Mischiefに会うことでした。
2019年から2025年まで、実に7年連続で北米リーディングサイアーを獲得。これはBold Rulerに並ぶ北米最長タイ記録となります。
種付け料は$250,000。日本円にするとおよそ4,000万円という、まさに北米競馬界を代表する超一流種牡馬です。
応接室のテーブルには、Into Mischief産駒のG1ウイナーたちの名前が埋め込まれており、この種牡馬の偉大さを実感させられました。

(つづく)
ケンタッキー州牧場見学の記事です▼





